日常系詐欺:いちばん多いのに、いちばん気づかない罠2

では、タイ在住日本人がもっとも“やられやすい” 日常系の詐欺 を、現場感たっぷりに深掘りしていく。
恋愛系や投資系ほどドラマチックではないけれど、日常系は“気づかないうちに刺してくる”タイプ。
いわば、静かに財布の血を抜いていく吸血鬼みたいな存在だ。

肩の力を抜きつつ、しかし油断した瞬間に首を噛まれる厄介な世界をのぞき込んでみよう。

◆ 日常系詐欺:いちばん多いのに、いちばん気づかない罠

日常系の詐欺は派手さがない。
ドラマ化もされないし、TikTokでバズることもない。
それなのに、日本人は圧倒的にこれでやられる。

理由はシンプルだ。

「生活ルーティンの中で油断している」
「被害額が小さいので気づかない」
「なんとなくタイだから仕方ないと思ってしまう」

この“三点セット”が揃うと、詐欺師は笑いながら財布の中を泳ぎだす。

ここからは、実際に起きている例を具体的に深掘りしていく。

◆ ケース①:タクシー料金の“謎の上乗せ”

メーターを使うタイプなのに、着いた瞬間に言われる。

「えーと、高速代100B、荷物代50B、遠いから50B、合計……◯◯◯」

計算式はまるで、数学オリンピックの予選問題。
しかし解答はいつも“ドライバーが得をする”数字になる。

● なぜ日本人はこれに弱い?

・タイ語で反論するのが面倒
・100B程度なら「まあいいか」精神が働く
・怒られたり、揉めるのが苦手(とくに日本人男性)

結果、ドライバーは「日本人は優しいATM」と学習する。

● 現場での対策

・乗る前に「メーターね?」と軽く確認
・荷物代・高速代など“後出し項目”は断固拒否
・「警察呼ぶよ(ボーリッサット)」は実はかなり効く

最後の手段は、降りる前にスマホでメーターの写真を撮る。
不思議と、それだけで追加料金が蒸発する。

◆ ケース②:屋台・市場の“多国籍料金”

看板に「50B」と書いてある。
しかし会計は75B。

「え、50Bじゃないの?」と聞くと
「ライス代が別」「テーブル代」「辛さ追加代」など、迷惑プレーが次々登場。

最後には「あなた日本人だから量多くした」などの滅茶苦茶な理由が飛んでくる。

● 日本人がはまりやすい理由

・タイの食堂に“隠れメニュー料金”が存在すると知らない
・揉めたくなくて支払ってしまう
・細かい値段に無頓着(海外に出ると特に)

● 現場の回避術

・注文前に「全部でいくら?」と聞く
・高いと感じたら無言で席を立つ(これが一番効く)
・混む店=安心と思いがちだが、“観光客密度”が高い店は危険

タイ語ができる必要はまったくない。
“値段の透明性”さえ確認すれば、ほぼ防げる。

◆ ケース③:デリバリーの“似たような店”詐欺

FoodpandaやGrabには、本物そっくりの偽店舗が存在する。
名前も写真も完全にパクってくる。

届いた料理は、
・油まみれのパッドガパオ
・袋の底に沈んだ不気味なスープ
・本物の半分の量
・しかも高い

というトリプルパンチ。

● なぜ引っかかる?

・本物にそっくりだから見破れない
・急いでいる時ほど判断力が落ちる
・日本人はブランド信仰が強く、類似店に疑いをもたない

● 回避法

・評価を必ずチェック(★4.5未満は警戒)
・写真が“過剰にきれい”な店は逆に怪しい
・レビューに「味が変わった」系のコメントがある店は要注意

このタイプの詐欺は、
「料理が不味いだけだから被害じゃない」
と思ってしまう人が多いが、立派な詐欺だ。

◆ ケース④:マンションの“敷金返さない芸”

退去時に突然始まる、“謎の修理費ラッシュ”。

・エアコン清掃:2,000B
・壁の汚れ:3,000B
・鍵交換:1,500B
などなど。

新品で入居したわけでもないのに、全てを“あなたのせい”にしてくる。

● 日本人がやられやすい理由

・部屋の写真を撮らずに入居する
・管理人の権限を過大評価してしまう
・「揉めたくない」で押し切られる

● 現場対策

・入居初日に写真・動画を撮りまくる
・退去1ヶ月前に「原状回復の費用」リストを提示してもらう
・怪しい請求は「警察」よりも「デベロッパー本社」へ連絡すると一発で引く

マンションの“敷金詐欺”は、
恋愛詐欺より地味だが、総額でいうとこっちの方が痛い人が多い。

◆ ケース⑤:街角の“フレンドリー過ぎる人”

「どこから来たの?日本?友達になろう!」
この時点で7割は詐欺のプロ。

ここから待っているのは
・偽宝石ショップ
・観光地の高額ガイド
・怪しいマッサージ
の“お友達価格(実は3倍)”コース。

● なぜ日本人が落ちる?

・タイ人の人懐っこさを“100%善意”だと信じる
・断るのが苦手
・「悪い人には見えなかった」という名セリフを言ってしまう

● 現場対策

・道で話しかけてくる親切な人=基本ビジネス
・笑顔で「大丈夫です」とだけ言って立ち去る
・観光地で“親切な現地人”は9割アウト

タイに長く住むと、「親切なタイ人」と「親切そうな詐欺師」を一瞬で見分けられるようになる。

◆ まとめ:日常系こそ“最大の敵”

恋愛詐欺や投資詐欺より、日常系は地味。
しかし、最終的に一番お金を吸われるのは日常である。

そして何より怖いのは、
被害にあった本人が 「これって詐欺だったのかな?」 とすら思わないこと。

タイで快適に暮らすためのコツは、
“疑う”のではなく “確認する癖” をつけること。

確認すれば99%の詐欺は防げる。
確認しなければ、どれだけ良い人でも財布が犠牲になる。

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